院内感染対策指針
- 1.院内感染対策に関する基本的な考え方
- 2.院内感染対策のための組織に関する基本事項
- 3.感染症の発生状況の報告に関する基本方針
- 4.院内感染症発生時の対応に関する基本方針
- 5.患者等に対する当該指針の閲覧に関する指針
- 6.感染症への当院の対応等
1.院内感染対策に関する基本的な考え方
院内感染の発生を未然に防ぎ、また、ひとたび発生した感染症に対しては、その原因の速やかな特定、制圧、終息を図ることは病院にとって非常に重要である。院内感染防止対策を全職員が把握し、指針に則った医療が提供できるよう、本指針を作成するものである。
用語の定義
1.院内感染 |
病院内で感染した全ての感染症を院内感染という。 |
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2.院内感染の対象者 | 院内感染の対象者は、入院患者、外来患者、見舞い人、訪問者及び院内の医師・看護師、その他の職員、院外関連企業の職員である。 |
2.院内感染対策のための組織に関する基本事項
下記の組織を置き連携を持ちながら感染対策を推進する。
(1)感染対策室
院内に感染防止対策を行う部門として設置し、部門内に感染対策チームを組織し感染防止にかかわる日常業務を行う。
(2)感染対策チーム(ICT)
以下の構成員からなる感染対策の実働チームである。
- 感染症対策に3年以上の経験を有する専任の常勤医師
- 5年以上感染管理に従事した経験を有する専任の看護師
- 3年以上の病院勤務経験を持つ又は適切な研修を終了した感染防止対策にかかわる専任の薬剤師
- 3年以上の病院勤務経験を持つ又は適切な研修を終了した専任の臨床検査技師
構成員のうち1名を院内感染管理者として配置し、感染対策部門の管理を行う。
ICTは、最新のエビデンスに基づいて、当院の実情に合わせた標準予防策、感染経路別予防策、職業感染予防策、疾患別感染対策、洗浄・消毒・滅菌、抗菌薬適正使用等の内容を盛り込んだ感染対策マニュアルを作成し、各部署に配布する。マニュアルは定期的に新しい知見を取り入れ改訂を行う。
ICTは、全職員を対象として少なくとも年2回程度、定期的に院内感染対策に関する研修を行い、実施内容について記録する。定期研修とは別に、入職時には院内の感染対策システムや基本的な感染経路別対策について経験を有する職員による研修を行う。
ICTは、少なくとも年4回程度、感染対策向上加算1の医療機関が定期的に主催する院内感染対策に関するカンファレンスに参加する。また、感染対策向上加算1の医療機関が主催する新興感染症の発生等を想定した訓練については、年1回以上参加する。
ICTは、週1回程度定期的に院内を巡回し、現場の改善に関する介入、現場の教育、アウトブレイクや院内感染の特定と制圧、抗菌薬適正使用に関する介入・指導などを行う。
ICTは、全注射抗菌薬の使用状況を監視し必要に応じて適正使用のための介入を行う。広域スペクトラムを有する抗菌薬と抗MRSA薬については届け出制とし特に注視する。
(3)感染対策委員会
院内の感染対策活動において中枢的役割を担う組織であり、感染対策に関する各種事項の審議・決定を行う。 委員会は毎月1回以上開催し、医師・看護師・薬剤師・検査技師等職種横断的組織とする。
委員会の所掌事務は次のとおりとする。
- 院内感染防止のための調査及び研修に関すること
- 院内感染対策に関し必要とされる事項
- 院内感染に係る情報の収集および関係部門との連絡調整に関すること
- 医療廃棄物の処理に関すること
- 院内抗菌薬の適正使用に関すること
- その他委員会が必要と認める事項
3.感染症の発生状況の報告に関する基本方針
- ICTは常に院内の感染症患者の発生数等を把握して感染対策に生かす。
- 検査科は対象限定サーベイランスを必要に応じて実施・報告し、その結果を感染対策に生かす。
- サーベイランスの手法として、厚生労働省内感染対策サーベイランス(JANIS)、感染対策連携共通プラットフォーム(J-SIPHE)に参加する。
- 感染対策向上加算1の医療機関に、感染症の発生状況、抗菌薬の使用状況等について定期的に報告を行い、助言を受ける。
4.院内感染症発生時の対応に関する基本方針
- 職員は重大な院内感染が疑われる場合には速やかに所属長に報告し、所属長はICTと協議し病院長に報告する。
- ICTは重大な感染症発生の場合は速やかに対策を立て、原因究明および再発防止について職員へ周知を図る。
- 必要に応じ行政機関への報告・相談、他院等との連携などの対策をとる。
- 管轄の保健所へ感染症法に規定される診断及び届出等を行う。
5.患者等に対する当該指針の閲覧に関する指針
本指針は、全部署に配置している感染対策マニュアルおよび、電子カルテで全職員が閲覧できる。また、当院のホームページに掲載するとともに、患者等からの閲覧の求めがあった場合には速やかに応ずる。
6.感染対策への当院の対応等
- 病院正面玄関の見やすい場所に、院内感染防止対策に関する取決事項を掲示している。
- 新興感染症の発生時等に、都道府県等の要請を受けて感染症患者を受け入れる体制を有することを、自治体のホームページにより公開している。
- 新興感染症の発生時等に、感染症患者を受け入れることを念頭に、汚染区域や清潔区域のゾーニングを行うことができる体制を有している。
平成19年11月1日 作成
平成23年12月1日 改訂
平成24年11月1日 改訂
令和4年6月30日 改訂
令和7年1月9日 改訂